骨粗しょう症予防にトレーニング

骸骨標本

人体には200以上の骨があり、それらが複雑に組み合わさっていて、骨には主に運動機関としての役割と代謝機関としての役割があります。運動機関としては身体を支えたり、関節運動、脳や臓器の保護をしていて、代謝機関としてはカルシウムを蓄え、骨髄では血を造る役割(造血作用)もあります。
そんな人体で重要な組織である骨は加齢で骨密度が低下します。特に高齢者では、骨がもろくなり、骨折が起きやすくなる骨粗しょう症)はご存知の方も多いかと思います。今回は、骨粗しょう症のメカニズムとその予防法について紹介します。

目次

骨粗しょう症

骨吸収>骨形成⇒骨密度低下

骨は、皮膚や筋肉と同様に新陳代謝を繰り返しています。破骨細胞が骨組織を破壊(骨吸収)し、骨芽細胞が新しい骨の生成(骨形成)しています。この骨の破壊と生成の繰り返しを「骨のリモデリング(骨改変)」と言います。
通常、骨のリモデリングは骨吸収と骨形成のバランスが保たれ全体の骨量は不変ですが、何らかの原因でバランスが崩れ、骨吸収の速度が骨形成の速度を上回ると、骨中に微細な空洞が生まれ骨密度の低い状態(骨がスカスカの状態)になります。この状態が骨粗しょう症です。

骨のリモデリングのバランスが崩れる原因

加齢

骨量(骨密度)は20歳前後でピークに達します。その後40歳代半ばまではほぼ一定で、50歳前後から低下していきます。これは加齢によって骨の主要な構成成分であるカルシウムの吸収が悪くなることが原因の一つです。

性ホルモン低下

女性特有ですが、閉経による女性ホルモンの減少も骨密度低下の大きな要因となります。女性ホルモンであるエストロゲンは、骨代謝においても破骨細胞の働きを抑えることで骨量を一定に保つ役割があります。閉経により、エストロゲンの分泌が減少すると、破骨細胞は活性化し、骨吸収が骨形成を上回ることで骨量減少が引き起こされます。一方、男性の場合はエストロゲンの代わりに男性ホルモンのアンドロゲンがその役割を担っていますが、閉経がない分女性よりも骨量減少は緩やかです。

生活習慣による脆弱化

食事で必要な栄養を摂れていなかったり、運動不足であったりと生活習慣も骨粗しょう症の原因となります。

骨の主要成分であるカルシウムはもちろんのこと、骨を作るためにはビタミンD、ビタミンKやマグネシウムも必要です。これらの栄養素が欠乏は骨のリモデリングのバランスが崩れ、骨密度低下の原因となります。
ビタミンDはカルシウムの腸での吸収を高めて骨形成を促進します。ビタミンKには骨形成を促進する作用と骨吸収を抑制する作用があります。マグネシウムは骨を形成する骨芽細胞に働きかけ、骨の中に入るカルシウム量を調節しています。

運動不足も骨のリモデリングのバランスを崩す一因となります。骨に運動による負荷がかからない状態が続くと骨代謝を促進させる骨芽細胞の機能が低下して新しい骨が形成されず、骨粗しょう症を引き起こします。

骨粗しょう症予防

骨に必要な栄養素を摂る

カルシウム、ビタミンD,K、マグネシウムを多く含む食材

骨のリモデリングのバランスを維持し骨粗しょう症にならないためには、カルシウム、ビタミンD、Kやマグネシウムを豊富に含む食品を摂取することが大切です。カルシウムは魚介類や大豆製品、乳製品、野菜類、海藻類など、ビタミンDはキノコ類や魚介類に多く含まれ、日光浴でも体内で合成されます。ビタミンKはブロッコリーや小松菜、ほうれん草などの緑葉野菜、わかめなどの海藻類、納豆に多く含まれています。マグネシウムは穀類、海藻、魚介類やナッツなどに多く含まれています。

運動で骨に刺激を

足部の骨と筋肉

筋肉は腱などを介して骨に付着しています。運動で筋肉が動くことで骨に力が加わり、骨を再生する細胞(骨芽細胞)が刺激されることで骨形成が活発になります。登山やランニング、スクワットなどの体重負荷を利用し重力に逆らった運動は骨形成に効果的ですが、散歩やエアロビクスなどの低強度の運動でも効果があります。やはり運動習慣は大切ですね。

まとめ

骨粗しょう症予防のための運動として筋トレもおすすめです。強度を調整して行うことで初心者でも手軽に始めることができますし、筋量の減少(サルコペニア)も予防することができます。
アンビージムでは60~80代といった骨粗しょう症が進む年代の筋トレ初心者の方も通われています。まずは体験トレーニングで試してみるのはいかがでしょうか?

参考
一般社団法人日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」

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この記事を書いた人

青森市中央のパーソナルジムANBEE GYMの代表。
自身のパワーリフティング競技経験や現場で身につけたトレーニングやストレッチの知識・技術で、健康に動けるあんべいい身体をつくることに力を注いでいます。

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